「グリーフ」について知りましょう
死別体験をしたときのさまざまな思いや感情を、内に閉じ込めた状態のことを英語で「グリーフ」といいます。
日本では特に、お葬式の時に遺族が気丈に振る舞うさまを「立派に勤めあげている」と評価する人もいて、
人前で感情的に取り乱すことは良くないという風潮があり、心の中のさまざまな感情を押し殺してしまうようになる方が多いようです。
何か嫌なことがあったときなど、自分の気持ちを言葉にして誰かに聞いてもらうことで心がすっきりと軽くなるということがありますが、
誰かに話すことができるようになると自然と気持ちの整理ができ、少しずつでも落ち着いてきます。
死別による深い悲しみは、少し話を聞いてもらっただけで治まるものではなく、その場ですっきりしたとしても、ちょっとしたきっかけで、また自分の気持ちに蓋をしてしまうということもあります。
それでも、そういったことを繰り返しながら、少しずつ心の整理をつけることができると、心も少しずつ元気になっていきます。
グリーフによって表れる影響
大切な人との死別体験は、心だけでなく身体、人間関係、人生にまで影響を及ぼし、
そのストレスで免疫力が低下し、疲労感や頭痛や吐き気、息苦しさなどさまざまな症状が現れると言われています。
これは
「水分を十分にとる」
「日に2~3回は横になる時間を作る」
「日に20~30分散歩をする」
など日常生活で予防していくことができます。
また、大切な人を亡くなった後に、疎外感や孤独感に襲われることもあるでしょう。
人を信じられなくなり、孤立してしまったり、今までサポートしてくれていた人が去っていってしまったりということもあります。
生きがいを見失ってしまうこともあります。
信仰している宗教がある方は、神や仏を信じられなくなるということもあります。
グリーフによる波のように変化する感情は、本来自分の悲しみを周囲に気づいてもらいたいという無意識のサインで、悲しみ、絶望感、怒り、無関心など、感情面でもさまざまな体験をすることになります。
悲しみと折り合いをつけるためには
死別体験による心の傷は小さくなることはあっても完全に消えることはないものです。
故人のことを無理に忘れようとすることはなく「思い出」という箱の中に整理していくことで、悲しみとの折り合いをつけていくのです。
そこまでに至るには、時にそばで支えてくれる人が必要です。
そんな人を支えたいと思っている方は、何か役に立ちたいと思っている旨をそのまま伝えるようにしましょう。
普段使わないような励ましの言葉や自分基準の判断や評価は、逆にご遺族を苦しめる場合もあります。
ご遺族の方がどんな気持ちでいるのか、最後まで話を聴いてあげて、そのままの気持ちを受け止めてあげてください。
その人が現実と向き合い、いつの日か死別を受け入れ、新しい人生を歩んでいくためにはそういった周囲のサポートが不可欠なのです。